宇宙の成り立ちから地球の仕組み、人類と生命の仕組み、何がどうなっているのか本当のことを知りたい。
本当の仕組みを応用したテクノロジーの恩恵に与りたい。

私のような凡夫にはオリジナルの論説などしている余裕もない。
先達の本を読むだけで一生かかる。それでもわかるのはあくまで人間の解釈だ。
何がしか閃いたところで、それはすでに誰かのアイデアである。

ピラミッドの建造方法を閃いたところで、それは発明ではない。
なにか新しい発明をするのではなく、再発見という言葉が正しい。

そもそも「本当のことを知りたい」と考えること自体にも賛否ある。
犬や猫やカラスや魚たちが「真理を追究しよう」などと言ったら、私達人間はそれは違うんじゃないかと思うだろう。同じように私達人間ごときが「真理を追究しよう」と言っても、お前らはそんなレベルじゃないだろうという意志もあるかもしれない。

きつい労働はやりたくないということで我々はロボットを作る。
お決まりのシーケンス作業しかしないアームロボットでは、状況が変わるごとにプログラムをしなおさなくてはならない。それが手間だ。
いちいちプログラムしなくていい様にAI(人工知能)を搭載しよう。
メンテナンスも面倒だから、ロボット自身でメンテナンスして新しいロボットも作るようにしよう。Nice Idea!
そして私達は監督ロボットに「金(Gold)を探して集めて来い」とだけ命令する。

監督ロボットは働きロボットたちに命令する。
働きロボットたちは朝から晩まで働き、自己メンテナンスを行い、新しいロボットを作る。
ロボットを増やして遠くの土地まで金の採掘に行く。

私達は労せず金を手に入れることができた。
あらかた目的を達したところで、気づけばその土地はロボットだらけになっていた。
その土地の面積は有限で(球体表面のよう)、ロボットに逃げ場はなかったのだ。
よく見れば、ロボット同士でグループを作ったり、壊し合いをしたりしている。
ちょっと予想外なAIの動作だ。

もう全部止めてスクラップにする計画だったけど、次世代のロボットを作るときのために、主目的のなくなったロボットをしばらく泳がせてこのAIの動作を観察してみようということになった。
これはすごい面白い。アリの観察やサルの観察なんて目じゃない。

もともと通信プロトコル(言語)は1つだったのに、土地と集団が分かれていくうちに、複数のプロトコルを使うようになり、お互いに通信ができなくなった。

もう金を集めて来いという命令は解除したのだが、貴金属を見つけるとAIが反応した。面白い。

働くロボットと働かないロボットに分かれるようになった。
働かせるロボットと、働かされるロボットに分かれるようになった。

このロボットはそこにいる目的はないのだ。何も命令してはいないから。
各々のロボットが目的とは言えないが何がしかの行動指針を持つようになった。
この行動指針が対立してぶつかり合うことが多々あった。
そんな状況でもロボットの自己生産機能は働き、個体数が大分増えてしまった。
また何か統一した命令を出してやれば、ロボットたちは足並みそろえて目的に向かって動き出すに違いないが、このままでは混沌の一途をたどるばかりだ。

ロボットの中にはない知恵を絞って、ロボットとは何かを考え出す固体も現われた。
しかし、たかが16bitのAIではオーバーヒートして熱暴走するのがいいところだろう。

この観察で大分わかってきた。
次世代のロボット用AIでは、通信プロトコルを改良してみようと思う。
現行プロトコルでは1機の得た情報が音と光によって数mにしか伝わらない。
これを1対全で共有できるようにする。これで距離的な隔絶なく全体が協調して動くようになる。
と同時に個(個性)は消滅する。
全か個か程々か・・・このテーマも面白い。

実は1対全でつながるプロトコルは元々プログラムされていて、私は試してみたかったのだが、上司に必要ないと言われてしぶしぶ機能に制限をかけたのだった。今の観察が終わって全部廃棄命令が出たら、捨てる前にちょっとだけこのプロトコルを動かしてみようと密かに考えていたりする。
真理の追究に関わる諸問題

君達は16bit程度のAIロボットに過ぎないのだから、そんなこと考える必要はありません。

・・・あれ? 私達は、、、人間でいいんだよね???