単極誘導というものがある。
磁石と金属板を一緒に回して中心と外周部にブラシを当てると起電力が発生するというものだ。興味があったのでやってみた。
(詳細は別にまとめるかもしれません)

用意した磁石はネオジム磁石(N35)で直径80mm、厚さ5mm、表面磁束密度は74mT(公称)となかなか強力。
これをDCモーターにつけて回す。ちょっとした軸ぶれで振動が大きく机がガタガタするので取っ掛かりの実験としては最大回転数3000RPM程度まで回せた。
回転数はレーザー回転計で非接触に測定した。
接点ブラシは銅線及びりん青銅リボンを用い、写真のように固定した。
回転させる金属板は用いずにネオジム磁石表面のニッケルコートを金属板に見立てた。表面多少ざらついていてブラシのこすれる音もうるさくニッケルが削れやすいので表面研磨したSUS円板があると良いかも。

起電力の公式は以下のとおり。

ωの単位は[rad/s]なので測定したRPM値に2*π/60を乗じて変換する
B=74mT(公称値)

実際に起電力を測定すると、理論値よりも大きめな電圧が測定された。
実測値と理論値の比はr=16mmでは1.2、r=40mmでは2.1程度と、rが大きくなるにつれ比が大きくなった。
磁場の形状や磁束密度の分布などの影響かもしれない。
具体的な数値をあげると、上記の磁石にて、回転数=2500rpm、r=40mmでの誘導起電力の理論値はEth=15.5mVであるが、実際に測定するとEex=32mVであった。(Eth:理論値、Eex:実測値のことである)
磁石サイズはどうであれ形状的に最外周だから比2程になったのか、r=40mmだから比2程になったのか、もし後者だとすると磁石のサイズがφ100、φ200と大きくなるほど理論電圧より大きな比の電圧が得られることになるが、別のサイズの磁石で確認する必要がある。おそらく前者(磁石の形状)かなとも思う。

一番大きな起電力は回転数3404rpmでr=40mmの時に(わずか)44mVの誘導起電力が得られた。机がガタガタしてこれ以上モーターの電圧を上げられなかった。

さて今までは下図のaやbの話である。

以前から考えていたcの思考実験について簡単に紹介する。図と写真参照のこと。

金属板の最外周位置(r=40mm)と絶縁させた金属リング(r=R1=16mm)を細い銅線で接続する。
モーターを回転させると磁石と共に金属リングも銅線も一緒に回転するものとする。
bの実験でr=16mm、回転数2000rpmとした時、電圧計は2.4mVを計測した。

ここで問題です。cの実験でbと同じくrを16mmとして2000rpmで回したとき、電圧計は何Vを計測するでしょうか?

結果は実測値で2.1mVでした。←ハイライトさせてみてください
誘導起電力は発生経路はどうであれ、rだけに依存するようです。
cの測定値がbより0.3mV低いのは金属リングが少し磁石から離れたために磁束密度Bが低くなったためと考えました。

ではcの状態で2000rpmで回転しているときに中央を0Vとしたら最外周r=40mmのところではaの実験結果から約24mVになっていて、そこから銅線を伝って金属リングに戻るうちに2.1mVまで低下するのでしょうか。(私のいる)静止系からブラシ接点で測定すればおそらくそういうことなのでしょう。

a(b、cでも同様)の状態で磁石の上に電圧計を固定して一緒に回転させたら、電圧計は0Vを計測するのでしょう。
これは重要なことです。

ブラシ接点と系の変換の意味を考えなくてはなりません。
回転金属板中の自由電子がローレンツ力(?)で外側に寄り、中心と外周部で分極した状態になる→それを電圧計で読み出す。という解釈は正しくはなさそうです。磁石と金属板を回すだけでは分極はしていないはずです。ブラシを当てるとあたかも分極している状態になるのです。

(余談ですが金属板の代わりにSiウェハーを回しても面白そうです。電子と正孔が分極したり光や温度でキャリアが増減して発生起電力の変化を楽しめそうです)

わかった風な結論などとても書けません。ファラデーのように死ぬまで考え続けるのも楽しいかもしれません。
もう少しいろいろな測定をしてみたいと思います。
モーターのバックトルクとか入出力エネルギーの効率とかの楽しい怪しい測定はこのセットアップでは望むべくもありませんのであしからず。

何か実験のアイデアがありましたらお寄せください。

aの実験動画です